コーヒー豆と発酵の美味しい関係

チーズやパン、ヨーグルトなど日常的に発酵食品を目にすることは非常に多いです。


コーヒー豆に関してもこの発酵現象が起きることがあるのですが、コーヒー豆の場合、発酵は味の面でマイナス評価となることが多いのです。
今回はその発酵とコーヒーとの美味しさの関係について。


発酵食品自体は微生物の働きなどによって食材は発酵されたもので、保存食や風味を楽しむことを目的として利用されてきました。
発酵分解の工程で食材が柔らかくなり、食べやすくなるという点もあります。
お酒などのアルコールもこの発酵工程で作り出されます。

発酵食品というのは私達の生活の身近で様々な形で活用されているのです。

コーヒー豆と発酵の関係

コーヒー豆の場合は発酵したコーヒーの香りは発酵臭と呼ばれマイナスになると考えられています。
生豆の外観そのものも変化しますが、それよりも香りが明らかに変わることがその理由です。

特に香りに対しての影響が大きく、一般的な豆の中に発酵豆が混入していると明らかに異質な香りを放ちます。
発酵豆は特に非水洗式(ナチュラル)のコーヒーチェリーを乾燥させる工程で発生しやすい豆であり、同じパナマ エスメラルダゲイシャであっても水洗式(ウォッシュド)と非水洗式(ナチュラル)では明らかに異なる味わいになります。(もちろん発酵だけの影響ではありませんが。)

水洗式は雑味な無くクリアーな味わいで上質な味わいなのに対し、非水洗式のコーヒーはより個性が強く少し荒々しい風味を感じる傾向にあります。

プリンセサワイニーは、乾季・雨季が分かれていないドミニカ共和国では珍しい非水洗式(ナチュラル プロセス)で作られたコーヒー豆で、やはり非常に特徴的な香りのするコーヒー豆です。

一般的なコーヒー豆から見た発酵臭

一般的に大量に流通されているコーヒー豆は「品質が安定していること」が重要です。
麻袋毎に品質が変わってしまっては、コーヒーの味を一定にすることが困難ですから当然の事でしょう。

品質を安定させることから考えるとイレギュラーな香りである発酵臭はやはり避けるべきものであり、コーヒー豆にとっては嫌われ者と言える存在なのです。

発酵によって美味しいコーヒーになるかも?

発酵したコーヒー豆は特徴的な香りになるわけですが、場合によってはそれが非常に特徴的で美味しいと感じる風味に繋がることもあります。

例えばエチオピア産のモカがわかりやすく、元々モカ臭と呼ばれる特徴的な華やかな香りがあるのがモカの特徴の一つでしたが、水洗式(ウォッシュド プロセス)のモカコーヒーはこのモカ臭が少ないのです。

一度テストで非水洗式のコーヒー豆でもハンドピックをして発酵豆を選別してから焙煎するとモカ臭は大きく減少するという結果になりました。

スペシャルティコーヒーと発酵について

スペシャルティコーヒーでは酸味の質や香り、味わいの質感など総合的に評価され決定されます。
このカッピング評価の際にも発酵というのは割りと厳しく判断されているようです。

そのためかカップオブエクセレンスなどのオークション出品のコーヒー豆は上位入賞のコーヒー豆というのは水洗式が多く見られます。

しかし発酵豆は必ずしも悪者というわけではなく、一つの個性として考えればより特徴あるコーヒーを作る幅が広がるように思います。

先ほど例に出した「プリンセサワイニー」など魅惑的なコーヒーも、発酵豆のお陰と言えるのかも知れません。

精選(コーヒーの実から種(豆)を取り出すまでの工程)時の発酵作用についても研究がなされていますから、いつか発酵をコントロールできるようになって香り豊かなとても美味しいコーヒー豆が作れるようになるかも知れませんね。

実際、乳酸の働きを利用し、意図的にわずかな発酵作用を与えている農園もあるようです。

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