コーヒーを抽出していると必ずと言っていいほど泡が発生します。
ハンドドリップの場合はコーヒーにお湯を注いだ際に膨らむようにしながら泡が発生します。
普段何気なく見ているこの「泡」ですが、コーヒーの味わいにはどのように影響しているのでしょうか?
泡でぷっくらとコーヒーが膨らんでいく様は一見美味しそうに見えますが、必ずしもそうとは限りません。
コーヒーの味の美味しさを追求していくのであれば、この泡についても意識する必要があります。
コーヒーの泡の正体
まずそもそもこの泡の正体はなんなのでしょうか?
元々は焙煎豆に含まれている二酸化炭素がお湯を浸透する影響で表に出てきたものと考えることが出来ますが、それだけではありません。
実際に抽出中のコーヒーを少し口に含んでみるとそのなんとも言えない雑味を感じるはずです。
コーヒーの泡にはこのようにコーヒーにとって、どちらかというとマイナス評価される味わいの成分が含まれているわけです。
コーヒーをカップテストする際にも、お湯を注ぎ撹拌した後は表面に出たコーヒーの粉と泡、それとアクを取り除いていくことがテスト前に行われます。
また二酸化炭素の発生量は焙煎が深くなるにつれて増加していきます。
そのため同じ条件で抽出しても焙煎が浅いものはお湯を注いだ際に膨らみにくいのはそのためです。
焙煎後長時間経過してしまったものも同様に膨らみにくくなり、こちらはコーヒーの味わいに影響を与えます。
ハンドドリップやネルドリップとコーヒーの泡
ペーパードリップやネルドリップなど透過式の抽出方法では、お湯を注ぐことによって全体的に膨らみ泡が発生します。
コーヒー豆は焙煎することで細胞組織の中にガスが含まれている状態になります。
これがお湯を注がれることにより追い出される形で表面にガスが発生してくるわけです。
ハンドドリップをしていて、大きな泡が発生した経験はありませんか?
もしそのような現象が発生した場合には「蒸らし」の工程が不十分な可能性があります。
ドリップの際に全体にお湯を注いだ後に30秒ほど待つことを「蒸らし」と呼びますが、これはお湯全体に水分を浸透させることを目的としており、美味しく抽出するためにも欠かせない作業です。
大きな泡が発生するときには蒸らしをしっかりと出来ているか再確認してみるといいでしょう。
エスプレッソとコーヒーの泡
エスプレッソで生じる泡はペーパードリップやネルドリップで抽出する際の泡とは少し事情が異なります。
エスプレッソでは圧力を加えることによって美味しいコーヒーが出来上がると言われますが、圧力は泡とも関係があります。
コーヒーに含まれているガスは圧力がかかることにより水分中に溶ける量が増加します。
粉を詰める際や抽出工程それぞれで圧力がかかるように準備していきますが、結果としてガスがコーヒーに溶けやすい状態になるわけです。
圧力をかけて一気に抽出することから様々な成分とともに泡の元となるガスも発生しやすい状態になるわけです。
特にエスプレッソコーヒーでアレンジコーヒーを作る際には、この泡が非常に重要な役割を果たすことになります。
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このように透過式(ペーパードリップやネルドリップ)とエスプレッソではコーヒーの泡の役割はそれぞれ異なります。
エスプレッソの場合は泡も含めてコーヒーを楽しむのに対して、透過式抽出技術では泡はコーヒーの味わいに良い影響を与えないと考えられており、極力入らないように抽出していきます。
それぞれの抽出方法に合わせてコーヒーの「泡」の影響を理解することが大切です。