コーヒー生豆の精選
コーヒーチェリーは収穫された後に精選と呼ばれる工程を行い、それからコーヒー生豆が取り出されることになります。
精選には複数の方法があり、ブラジルで主流の非水洗(ナチュラル)、中米などで広く使われている水洗式(ウォッシュド)、マンデリンの生産方法であるスマトラ式、非水洗と水洗式の中間的なパルプドナチュラルに分かれます。
パルプドナチュラルは昔はセミウォッシュドとも呼ばれていたはずなのですが、いつのころからか呼び名が変わったようですね。
コーヒーの産地で呼び名が変わることは結構ありますので注意しなければいけません。
話が逸れましたが、今回お話したいのは「コーヒーの精選方法が色々ある理由」についてです。
精選方法の違いは天候の影響が大きい
コーヒーの生産国の天気は国や地域により様々です。
年中通して雨が降っている地域もあれば、ブラジルのように乾季と雨季がはっきりわかれている国もあります。
コーヒーの精選方法の違いは、この「天候」によるところが大きいのです。
乾季と雨季が分かれている地域
ブラジルなどで行われている非水洗式の精選方法では、収穫したコーヒーチェリーをそのまま敷き詰めて天日乾燥させ、乾燥が終わったものから殻を取り除いてチェリーの中にある種(コーヒー生豆)を取り出します。
果実には水分も多いので乾燥させるには時間がかかりますし、しかもコーヒーチェリーを敷き詰めるだけの広い土地が必要となるのです。
ブラジルのように乾季と雨季がはっきり分かれている国なら大丈夫ですが、いつ雨が降るかわからない地域で非水洗式の精選方法を行うことはとても難しいのです。
非水洗式が難しい国では水洗式が主流
非水洗式を用いない生産国の多くでは水洗式の精選が行われます。
読んで字のごとく、水洗式では収穫したコーヒーチェリーをまず水で洗い、乾燥させるより先に果肉などを除去してしまいます。
果肉が無い分、乾燥に必要な時間が短縮できるわけです。中米(ジャマイカやドミニカ共和国などなど)のように乾季と雨季が明確にわかれていない産地ではこのような理由から水洗式が広く使われているわけですね。
リスクを冒して非水洗式にこだわる農園もあります
コーヒーの仕上がりの違いとしては、一般的に非水洗式では風味の特徴がはっきりした個性的なものが多く、水洗式では雑味がなくクリアで上品な味わいとなります。
非水洗式では果肉ごと乾燥させるためにコーヒーそのものの味が色濃く残るので個性がはっきり出やすく、水洗式では水で洗うことで異物や欠点豆も取り除かれる為に高品質で雑味が無い分、個性は弱くなるのではないかと思います。
当店の商品で典型的なのは、ブラジルのトミオフクダやイエメンのモカマタリなどが非水洗式。
ブルーマウンテンNo.1やカリブマウンテンなど中米のコーヒーは水洗式の上品な味わいです
中米でも非水洗式の精選をしているコーヒー農園もあり、スペシャルティコーヒーとして存在していますが、乾燥中に雨が降るおそれのある中米で非水洗式で精選している というだけでもかなりの労力とリスクがあるわけですね。
プリンセサ ワイニーも非常に個性的な味わいの商品ですが、ワイニーも水洗式が主流であるドミニカ共和国で、あえて非水洗式で精選されたコーヒーなのです。そのこだわりが、ワイニーの独特な風味を生み出しているわけです。
*以前書いたので今回は割愛しましたが、パルプドナチュラル(ハニー)やスマトラ式の精選については「精選方法から見るコーヒーの違い」をご参考ください。