コーヒーチェリーを収穫した後にコーヒー生豆の状態にするまでには幾つかの段階を経ます。
大きく4種類の精選方法があり、同一のコーヒーチェリーであってもどのような精選方法を行うのかによって味覚面や外観に大きな変化を与えます。
1 非水洗式
ナチュラルなどとも呼ばれている精選方法です。
収穫されたコーヒーチェリーをそのまま乾燥させた後に、果肉とパーチメント(薄皮)を一気に除去させます。
ブラジルやエチオピア、イエメンなどで行われている精選方法で、水分量の多いチェリーの状態から乾燥させるために、乾燥にかかる時間は長いです。
そのためブラジルのように、乾季と雨季がはっきりと分けれているような生産国でないと乾燥中に降雨にあってしまうようなことにも繋がりますので、降雨の多い地域では非水洗のコーヒーを作るのは適していません。
特にモカの場合、特徴的な風味が明確なのは非水洗で作られたコーヒー豆です。
やはりコーヒーチェリーの状態のままで乾燥させるため、チェリーの持っている風味が少なからず豆に影響を与えているのだと思います。
2 水洗式
ウォッシュドとも呼ばれる精選方法です。中米産のコーヒー全般的によく使われています。
収穫されたコーヒーチェリーは一番最初に水槽に入れられ異物除去が行われます。
その後に果肉除去を行うのですが、果肉除去した豆にはミューシレージと呼ばれる粘液質がついています。
粘液質は簡単には除去できず、また保存の面でも問題があるため取り除く必要があります。
発酵槽と呼ばれる水槽に入れられ酵素の微生物の働きによって、コーヒーチェリーについているミューシレージを分解します。
その後に水洗処理した後に薄皮から豆を取り出し乾燥させます。
このように何度か水に触れるために水洗式は欠点豆が少なく高品質な一方で、コーヒー本来が持っている風味は多少軽減しているように思います。
3 パルプドナチュラル
非水洗と同様の箇所が多いですが、大きく異なるのは一番最初に果肉を除去する点です。
パルプドナチュラルでは果肉を除去し、粘着質の残っているパーチメントコーヒーをそのまま乾燥させ、その後脱殻し豆を取り出します。
果肉除去により水分量が少なくなりますので、従来の非水洗処理より乾燥時間を短くすることが可能です。
コスタリカなどではパルプドナチュラルで精選されたコーヒーをハニーコーヒーと呼んでいます。
4 スマトラ式
インドネシアのスマトラ島の一部で行われている生産方法です。
果肉および粘液質除去後に予備乾燥で軽く乾燥させ、豆を取り出します。
その後本乾燥を行います。
この方法で処理されたコーヒー豆は深緑色に仕上がり特徴の一つとなっていますが、まだ柔らかい状態で生豆を取り出すことから傷の原因となることもあります。
マンデリンなどで利用されている精選方法です。
余談ですが、私はどちらかというと非水洗のコーヒーが好きです。
当店で販売しているドミニカ プリンセサワイニーも非水洗のコーヒーです。
本来カリブ海のコーヒーは水洗式のコーヒーが主流なのですが、特徴を出すためにあえて非水洗で精選しています。ワインのような特徴的な風味があるコーヒーですね。
同じ種類の豆でも精選方法で味わいが変わります。
一度精選方法の違いを意識してコーヒーを味わうと、また違うコーヒーの一面を知ることが出来ると思います。