以前にも一度軽く書いたことがありますが、コーヒー生豆にはナチュラルと言われる非水洗式とウオッシュドと言われる非水洗式の2種類の精選方法があります。
非水洗式で生産している国は少なく、国の数で考えると圧倒的に水洗式の方が多いのですが、最大生産国のブラジルが非水洗式のため、流通している生豆の割合で考えると非水洗式も圧倒的に少ないわけではありません。
おそらく半分近くは非水洗式なのではないですか。
しかしなぜ国によって主要な精選方法が違うのでしょうか?
精選方法の特徴
ご存知の通り非水洗式は果肉がついたままでコーヒーチェリーを乾燥させる作り方です。
時間をかけて完全にチェリーを乾燥させたあとに果肉などを除去して生豆を取り出すわけです。
果肉の甘みが生豆にゆっくりと移動するなどとも言われていますが、最大の特徴は乾燥することに時間がかかるという点です。
一方の水洗式では果肉を除去したあとのパーチメントコーヒーを乾燥させていきます。
水分の多い果肉を除去してから乾燥させますので、感想に要する時間が短くて済むわけです。
つまり非水洗式と水洗式の大きな違いは「乾燥に必要とする時間が違う」ということなのです。
過去コラム
〈精選方法から見るコーヒーの違い〉
コーヒー生産国の天候について
コーヒーの生産のためには雨の存在が欠かせません。
雨が少ないと旱魃(かんばつ)が起きてしまいコーヒーの生産量が激減する原因となります。
昨年はブラジルでコニロンが不作になることでコーヒー価格上昇の引き金となりましたが、これも降雨不足が原因です。
一方で雨が振り続けるということはコーヒーを生産する上で必ずしもプラスに働くわけではないのです。
開花時期の降雨は結実量の低下を招きますし、生豆の乾燥工程で雨が降ってしまうといつまでたっても生豆が乾かず欠点豆の原因となります。
つまり乾季と雨季のメリハリがコーヒー生産では不可欠なのです。
なぜ水洗式が多いのか?
水洗式が多い理由は結局この天候的な理由が大きいのです。
つまり降雨の可能性がある産地では少しでも早く乾燥させる必要があるために果肉を取り除いた状態で乾燥させる水洗式が普及したわけです。
非水洗式の主要生産国であるブラジルでは乾季と雨季がわかれており、収穫された果肉をそのまま乾燥させるのに適していたわけです。
もちろん非常に多くの生産量を誇る国ですから水洗式で作るための設備を作ることが現実的ではないことも理由の一つだろうと思います。
非水洗式の生産国でもう一つの有名な産地と言えばエチオピアでしょうか。
当店では水洗式のエチオピア・モカ イルガチェフェ G1を取扱いしていますが、水洗式と非水洗式で味わいが大きく異なるのがモカを飲んでいると実感します。
また非水洗式と水洗式の中間的な精選方法もありますが、それはまた次の機会に書こうと思います。
