コーヒーは同じ環境で作られたコーヒー豆であっても収穫後にどのような加工をされたかという条件によって味が大きく変わります。
味を決定するための要素は幾つもありますが、大きく分類すると「原料の精選方法(非水洗式か水洗式か)」「焙煎方法」「粉砕方法」「抽出方法」の4工程と言えるでしょう。
(他にも保存状態など多岐にわたりますが割愛致します)
今回はその中でも精選工程による味の変化を家庭で楽しむ方法について考えてみました。
飲み比べをするときに気を付けていること
少し話は逸れますが、コーヒーの飲み比べをするときに私自身が気を付けている点として複数の種類を比較するのであれば何回かに分けて試飲するのではなく、一度に複数のコーヒーを比較しながら試飲するということです。
常に神経を集中させた状態で飲んでいても、記憶だけを頼りに比較するというのは正確に判断できなくなる可能性があるためですね。
抽出方法についても然りで、同じ条件で抽出しなければ僅かな味の違いが判断できなくなるかもしません。
そう考えるとカップテスト方式の浸漬式やフレンチプレスなどの抽出方法は抽出手順が同じであれば同じ条件でコーヒーを抽出することが出来ますので比較には適していると言えるでしょう。
私がカッピングするのは原料となる生豆のロットが変更なったタイミングや、新しい原料選定のことが多いです。
コーヒー豆の精選工程別飲み比べ
コーヒー豆の精選方法としては「非水洗式(ナチュラル)」「水洗式(ウォッシュド)」「スマトラ式」「パルプドナチュラル」が存在しています。
飲み比べをするとなると生産地や品種の条件を揃える必要があるでしょう。
非水洗式はブラジルやエチオピアなど、水洗式は中米など多くの生産国で使用されている精選方法ですね。
スマトラ式はインドネシアでしかされていないはずです。
パルプドナチュラルはブラジルの一部は中米で使用されている精選方法でスペシャルティコーヒーの精選方法としても目にする機会は多いです。
こうして見ると一つの生産国で複数の精選方法で作っているというのは意外と少ないのです。
もちろんブラジルであれば非水洗式・水洗式・パルプドナチュラルは使っている農園も存在していますのでスマトラ式以外は揃えることが出来るとはいえ、やはりブラジルのメインとなる精選方法は非水洗式で流通量も圧倒的に多いのです。
そこで割と手軽に複数の精選方法の豆を入手できる国ということで考えるとエチオピアが適しているのではないかと思います。
エチオピアモカは昔から非水洗式と水洗式の2種類が日本に輸入されてきており流通量も比較的多いのです。
もう一つ精選方法の比較としておすすめしたいのが、当店でも取扱いのあるドミニカ共和国のコーヒー豆ですね。
水洗式で作られているカリブマウンテンと非水洗式のプリンセサワイニーという精選方法の異なる2種類を当店では取扱いしています。

◆非水洗式(ナチュラル)のコーヒー生豆です。
薄皮がついていることもあり全体的に少し黄色くなっています。
◆こちらは水洗式(ウォッシュド)のコーヒー生豆です。
薄皮は殆ど取れており雑味の無いすっきりとした味わいが特徴です。
ドミニカ共和国のコーヒー豆飲み比べ
コーヒーの味を比較するためには2種類同時に抽出して比較することがよりわかりやすくなります。
もちろん別々のタイミングでコーヒーを飲んでも違いはわかりますが、飲み比べることにより一層味の違いがわかりやすくなります。
カリブマウンテンの水洗式特有の上質で雑味の無い味わいと、プリンセサワイニーのはっきりとした香りと力強い風味を感じていただけると思います。
プリンセサワイニーは非水洗式の中でも特に個性が強いコーヒーなので、より強く違いが出てしまいますが味の傾向としてはわかりやすいはずです。
まずは精選方法で味がこれだけ変わる要因になるのだということを実感してください。
これはエチオピアモカなど他のコーヒーにも言えることで、やはり精選方法が異なると味の傾向が変わってくるのです。
ぜひ実際に飲んでみて、その味わいの差を感じていただきたいと思います。
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