近年急速に普及したスペシャルティコーヒーですが、ブルーマウンテンやモカマタリなど元々知名度の高いコーヒー豆と何が違うのでしょうか?
ブル−マウンマンもモカマタリも歴史のある人気商品です。コーヒーに詳しくない方でも「ブルマン」や「モカ」はなにかしら耳にしたことがあるはずです。
しかしスペシャルティコーヒーと呼ぶべきか否かで考えると、スペシャルティコーヒーとは異なるというのが私の考えです。
スペシャルティコーヒーとは?
過去に何度か書いたことがありますが、スペシャルティコーヒーのコンセプトは「from seed to cup」。
種を植え苗を育てるところから、カップに注がれたコーヒーになるまでの一連の工程にこだわりを持ったコーヒー豆のことです。
そのためには欠点豆と呼ばれるコーヒーの味にマイナス影響となる豆の混入を避けることや、収穫後の乾燥方法など細部にこだわることが必要となってきます。
たとえば、ブラジルのトミオフクダドライオンツリーはコーヒーチェリーを樹上で乾燥させてから収穫するという、樹に負担のかかる手間を厭わず、その手間が自然な甘みを含んだ特徴的な味わいを生んでいます。
ドミニカ共和国のプリンセサワイニーはドミニカ共和国としては珍しい非水洗式という精選方法でコーヒーチェリーを乾燥させており、果肉がついたままでチェリーを乾燥させることで白ワインのような特徴的な香りと口当たりにつながっているなど生産地によって様々な工夫の結果素晴らしいコーヒー豆が出来上がっているわけです。
ブルーマウンテンなどの有名ブランドのコーヒー
そういった意味では、ブルーマウンテンやモカマタリ、クリスタルマウンテンなどのコーヒーは元々知名度が高く 味わい的にも美味しいコーヒーばかりなのですが、スペシャルティコーヒーかと言われると少し違うように感じます。
「素晴らしく美味しいコーヒーなのだからスペシャルティコーヒーじゃないか」というお声も聞こえてきそうですが、いずれのコーヒーも欠点豆が多少含まれていることを許される格付け基準となっており、スペシャルティコーヒーの基準から考えるとまた異なるものであると思います。
(あくまで私の考えであり、様々な意見があって然るべきだとは思います。また海外の場合は日本とは多少異なる基準です。)
スペシャルティコーヒーが最高のコーヒーというわけではありません
ここまで読むと、私がブルーマウンテンやモカマタリを否定しているようですが、そういう意図は全くありません。
スペシャルティコーヒーは確かにどのコーヒーを飲んでも素晴らしい味わいのコーヒーばかりです。
特に全体的に嫌な後味を感じさせず冷めたコーヒーを飲んでも美味しく飲める点は本当に素晴らしいです。
しかしスペシャルティコーヒーが必ずしも最高のコーヒーというわけではなく、他にも多くの美味しいコーヒーが存在しています。スペシャルティコーヒーじゃないから美味しくないわけではありません。
自分自身の好みのコーヒーを見つけることがなにより大切です。
例えばエチオピアは欠点豆の混入率で格付けが行われ、最上級は当店でも取り扱いのグレード1です。欠点豆の混入率が少ないことからスッキリとした口当たりで雑味を感じさせないコーヒーです。
では、グレード2以下は美味しくなくなるのかと言えばそんなことはありません。
特に非水洗式のコーヒーはグレード3以下の評価で流通することが多いのですが、エチオピアモカの特徴的な香りを感じやすいのは非水洗式のコーヒー豆です。
等級は確かに味を見分ける指針ですが、それが全てというわけではないのです。スペシャルティコーヒーであるかどうかも、あくまで指針の1つでしかありません。
当店では味わいのおおまかな特徴でも商品を分類しているので、お好みのコーヒーを見つけるときの道標となれば幸いです。