世界のコーヒーの生産量や消費量は様々なところから発表されます。
多いのは輸出業者や商社、生産農家からでその時点での開花状況や統計などに基づき生産数量などの発表が行われるのですが各社で数字が異なっているというのが実情です。
特に輸出企業など生産者に近い立場の場合、やはり「高く売りたい」という考えもある事から実際の生産量よりも少なく発表する傾向にあるように感じます。
USDAアメリカ農務省の統計が発表されました
その中でも実情に近いと言われているのがアメリカ農務省であるUSDAが発表する統計データです。
一年間に2回、6月にはその年の予測値を、12月に最終の値が発表されます。
生産量だけでなく消費量や生産国在庫数までのデータを発表されており、世界的なコーヒーの需給バランスを見る上で非常に参考になります。
先週末の日本時間での夜間に12月度のデータが発表されました。
生産量の推移について
各生産地で不作が報じられていましたが、結果的には全体的な生産量は前年対比で増加になりました。
2016年度は1億5,663万袋(1袋=60Kg計算 :約93億9780万kg)の生産予想です。
その内ブラジルが5,610万袋であり3分の1以上を生産しています。
ただしブラジルもアラビカ種に関しては順調に生産されているのですが、コニロン種(ブラジル産のカネフォラ種)は大幅減産となっており、ブラジル国内消費用やインスタント原料用のコーヒー豆が不足しているという状況です。(インスタントコーヒーはアラビカ種よりもカネフォラ種の方が適している)
そのため、ブラジルはインスタントコーヒーの新規受託を見合わせている状況のようです。
カネフォラ種コーヒーの最大生産国であるベトナムも今年は減産(2,670万袋、昨年は2893万袋)となっており、全体的にカネフォラ種が不足している状況です。
このように全体的に不作であるにも関わらず、なんとか全体的な供給量で前年を上回る結果になったのはコロンビアが豊作であったためです。
数年前にはリノベーションの影響により生産量が大きく減少する事にもなったコロンビアですが、現在では植え替えの結果が出てきており、1450万袋もの生産数になっています。
消費量の推移について
コーヒーの消費量は年々増加傾向にあります。
特にコーヒーの消費ではアメリカとブラジルの消費が非常に多く、この2ヶ国で世界の消費量の3分の1近くを占めているという状況です。
ブラジルは消費国としても年々増えてきておりアメリカを超える日も近いと言われてはいますが、未だ500万袋分程アメリカより少ない状況です。
世界3位のコーヒー消費国は日本
ちなみにアメリカ、ブラジルに続き世界第3位のコーヒー消費国は日本です。
特にここ数年で消費量を一気に伸ばしている背景にはコンビニコーヒーが普及した影響も大きいでしょう。
来年以降の予想
消費量は極端に変動することもないと思いますので、焦点としては「コーヒーの生産数がどうなるか」ということでしょう。
主要生産国のブラジルは年明け以降来年度の生産予想が発表されてきます。
花の開花状況と面積から逆算して各企業が予想するのです。
来年度はブラジルが裏作(不作年)になることと、今年降雨不足だった影響も懸念されます。
おそらくは供給量の面では厳しい年になるのではないでしょうか。